ネガティブ方向にポジティブ!

このブログは詰まらないことを延々と書いているブログです。

1131

ある朝、ある人の誕生日であった。

その日、外に出るとそれらはあった。

 

上を見上げれば葉が黄色く色付いていた。

中には赤くなっているものもあり、上から赤、黄、緑の見事なグラデーションであった。

耳が冷たい空気に食まれながら、道を歩いた。

 

下を見渡せば田が黄色く煌めいていた。

稲穂が風に揺れながら、穂に付いた水滴に日の光が差し込んでいるのだろうか。

透き通る空気を肺一杯吸い込みながら、道を歩いた。

 

人の家の庭先を見れば柿が生っていた。

小振りな実を幾つもぶら下げた柿の木の枝が、少し庭から道の方へ迫り出ていた。

手を擦りながら、道を歩いた。

 

その隣にセイタカアワダチソウが咲いていた。

小さな花を幾つも震わせて、これ見よがしに咲き誇っていた。

寒さに急き立てられ早足になりながら、道を歩いた。

 

何処も彼処も黄色に染まっていた。

世の中が黄色に染まっていた。

この黄色に染まった日に産まれたのか、とある人を思い浮かべた。

 

世の中が黄色い染まる日、私は祝いの言葉をそっと送った。