33歳にして未だに漫画を買い漁り、読んでいる。
年相応、という文脈を考えれば、少年少女漫画は卒業するものだろうか?
未だに漫画は面白いので、今年も留年するだろう。
漫画を読み続けていると、時代の変化を感じる時がたまにある。
表現媒体は時代の影響から逃れられない。
最近読んだ漫画で私の「古い」価値観が浮き彫りになった。
「好きな子がめがねを忘れた」という漫画を買った。
店頭で6巻まで売っていたので、大人買いした。
Twitterで流れていて、気になっていたのだ。
眼鏡を忘れてしまうヒロインの三重さんに恋している主人公の小村くんが振り回されるラブコメだ。
舞台は主に中学校、つまり、両名は中学生である。
最近のラブコメは中学生が多い気がする、あくまで私の主観でだが。
さて、その中学生たち、普通に学校にタブレット携帯電話を持ち込んでいる。
連絡先交換をLINEで行い、親からの連絡もLINEだったりする。
授業中にハートに見える雲があると騒いだシーンでは、小村くんを含めて3人が教師に隠れてその雲を撮影し、教師が口頭で注意していたりする。
私が10代の時は、携帯電話は高校生から、という認識であった。
中学生が携帯電話を持っているなどは極少数の人間で、珍しいケースであった。
今や中学生がタブレット携帯電話を持っているのが普通なのだ。
「僕の心のヤバいやつ」、「からかい上手の高木さん」の漫画でも、中学生の主人公は普通にタブレットを持っているし、LINEで同じく中学生のヒロインとやりとりしている。
「ハイスコアガールダッシュ」では、同じ中学校で時代設定がまだ平成初期(推測)なのだが、学校一の問題児が折り畳み式携帯電話を持ち込んで教師に注意される場面からも時代の変化を感じる。
私が15歳の時から18年の歳月でここまで変わった。
更に「好きな子がめがねを忘れる」では、私を驚かす。
主人公である小村くんは髪を染めているのだが、それは母親が染めるよう勧めたからだというのだ。
中学生が髪を染めるというだけでも驚きだが、母親が多感な中学生の息子に髪を染めることを勧めて染めさせるというのも驚きだ。
中学校自体が髪染めには寛容なのか、それに対して兎や角言われるシーンはない。
小村くん自身は大変に真面目というか、先生の手伝いをする良い子である。
小村くんの母親がロックなのかもしれない、と感じる。
この母親、髪染めだけでなく、ピアスも積極的に勧めているのだ。
友達とか先輩から「ピアスしたら?」なら飲め込めるが、母親がピアスを勧めるのに違和感がある。
小村くん自身は似合わないから、と乗り気じゃなく、やはり母親が破天荒な気がする。
しかし、各ご家庭の育て方に兎や角言うのは野暮だろう。
つまり、私が古いのだ、中学生がピアスをするという現象に対して引っ掛かるのは。
髪を染めるのもピアスをするのも普通な時代が来るかもしれない。
これからも漫画を買い漁り、読んでいくつもりである。
漫画家もどんどんと新しい作家が生まれ、時代を反映したものを作り出すだろう。
その度に私は驚き、自分の古くなった価値観を直視するだろう。
時代に合わせるだけが能ではない。
自分の確固たる意思で決めても良いだろう。
しかし、穴に籠もってしまっては、時代に取り残される。
死ぬまで驚き続けたい。
変わり続ける時代の中で、時代の当事者として肌で感じていたい。
同時に春に咲く桜を愛でて、毎年感動できる私でもいたい。
時代の変化を漫画オタクは考える。