滑舌の練習が正しくできている自信がない。
教えてもらった方法でやってみるが、どうにもこうにもできている気がしない。
これで上達できるのか、今から不安で足下が覚束ない。
割り箸を奥歯で軽く噛んだ状態から、腹式呼吸で喋る。
低くゆっくりと喋ることを意識して、腹と背中で支えるように熱い空気を出しながら、口の中を大きく空け、口の端は微笑むように上げ、背中から頭の後ろを通っていくイメージで喋る。
注意すべきことが山ほどあって、そのどれもできていない。
まず、腹式呼吸が今一つできていない。
腹筋が迷子になって、横隔膜が下がった感じがしない。
姿勢も猫背だから、背中で支えるイメージもうまくできない。
喋ろうとすると、低い声が出難い。
低くゆっくりと喋ろうとするとロボットのようになって喋れない。
そも、熱い空気を出せていない。
口の端が全然上がらない。
表情筋が死んでいる。
頑張ってあげると、サイコパスさながら不気味な顔が出来上がる。
基礎中の基礎ができないのに、ここから感情を作ったりせねばならない。
どう考えても10月までにできているとは思えない。
足下にロープが絡まってもつれて転びそうな怖さをひしひしと感じている。
しかし、泣き言を言っても仕方ない。
もう動き出しているのだ。
笑われても、一つ一つできることから。
感情表現は一先ず忘れて、目下、熱い空気を出すのをできるようにしたい。
腹式呼吸ができれば、大分滑舌に余裕ができるはずだ。
割り箸を奥歯に噛みながら、V字腹筋で腹式呼吸をマスターしたい。
前回よりはできているようになりたい。
目標、前回の私を越える。
今回のまつもと演劇祭はそこに焦点を当てていこうか。
さて、地獄への歩みは始まったばかり、もんどり打って進もうかね。