ネガティブ方向にポジティブ!

このブログは詰まらないことを延々と書いているブログです。

【自由と幸福】

去年の5月頃、書いた脚本だ。

色々あって、半分お蔵入りしてしまった。

いや、まだ半分の可能性がある、とは考えるけれど、折角書いたから、公開してしまう。

 

ネタバレだ!となるのが怖い気もしつつ、これで良しとしてしまう。

でも、一応、続きからにする。

文字数7000文字なので、長いし、続きにする。

 

 

【自由と幸福】

 

登場人物

 

・『自由と幸福』のブロンズ像

とある工房にあるとある像

 

・人

とある工房に来たとある人

 

・彼

とある工房の元主

 

1、とある工房

 

 『自由と幸福』のブロンズ像、舞台中央で立っている。

 

ブロンズ像  私の生は苦難に満ちている。苦難、そう、苦難だ。山に囲まれた、小さな工房(こうぼう)があった。その工房に一人の青年がいた。私の生みの親だ。彼は芸術家であった。そして、私には、片割れがいた。私たちは『自由と幸福』という像であった。そう、自由と幸福。私は自由、片割れは幸福という名であった。彼に名を与えられてから、私たちは目を覚ました。そして、私たちは自分たちが自由で、幸福だと思った。そう、自由で幸福であった。私たちの足は台座にじっと固まっていたが、私たちは自由で幸福であった。何故なら、彼の工房には私たちのすべてがあったから。私が見たいものや聞きたいものはすべて彼の工房にあった。私の足は台座から離れなかったが、私の魂は自由であった。誰一人、私の魂を縛る(しばる)ものはなかった。私を創造した彼も、私の魂を縛れなかった。私は真に自由であり、そういう風に彼に作られていた。片割れもそうであった。片割れの望むものはすべて彼の工房にあった。片割れの口は開くことはできなかったが、片割れの魂は幸福であった。幸福で満ち足りていた。片割れもそういう風に作られたのだ。私には分かる。片割れは真に幸福であった。 私たちにとって、彼の工房がすべてであった。そう、すべてだったのだ。彼の才能は本物だった。そう、本物であった。彼の作るブロンズ像はどれも生きているようであった。彼の作るブロンズ像はどれも生き生きとしていた。彼の作るブロンズ像には、命が、宿っていた。私たちは彼の才能を信じていた。そう、私たちは信じていた。彼は無口な人間であった。そう、 無口であった。彼の口はいつも閉ざされていて、朝も、夜も、その口が開くことはなかった。彼は働き者であった。そう、働き者であった。朝は粘土を捏ね(こね)、石膏(せっこう)を押し当てて型を作り、夜は熱いブロンズの湯を作った型の湯口にそっと流し込んでいた。また別の日には十分に冷ましておいた型を壊し、ブロンズを取り出して、タガネやヤスリを使って余分な部分を削り、ぼろぼろの布で丁寧(ていねい)にブロンズを拭いていた。また別の日には机の上に林檎(りんご)や銀のポットを置いて、それをモ チーフにして、何枚も何枚も絵を描いていた。彼は無口であったが、彼の無骨(ぶこつ)な手は雄弁(ゆうべん)であった。そう、彼の手は実に雄弁であった。彼は貧しかった。そう、貧しかった。いつも同じ服を着ていた。いつも同じパンを食べていた。だが、 彼は貧しかったが、それが彼のすべてではなかった。そう、貧しさが彼のすべてではなかった、はずなのだ。ある時、彼が長いこと工房を空けた。彼が工房を空ける時は、金銭の工面をするために街に出ている時で、そういう時は大体3日ほどかかるのだが、その時は3日経っても彼は帰って来なかった。1週間が過ぎ、1ヶ月が過ぎ、半年が過ぎ、1年が過ぎて、少しした朝に、彼が帰ってきた。 彼はやはり無口であったが、彼の手は、悲しんでいた。そう、悲しみで震えていた。彼は椅子(いす)に座った。 彼は働かなかった。彼は初めて工房で働かなかった。椅子に座ったまま、働かず、じっとしてた。ただ、彼の手は雄弁に悲しみで震えていた。そう、凍えるように、震えていた。夜になって、 彼は不意に立ち上がって、工房を出て行った。そう、出て行った。 出て行く前に、彼は振り向いて、私たちを見て、「お元気で」と言った。それが初めて聞いた彼の言葉であった。そして、それが 最後に聞いた彼の言葉であった。彼が居なくなって3年、彼の工房はぽっかり、彼が欠けてしまっていた。片割れは、彼はいつか戻ってくる、と信じていたようだが、私は彼が戻って来ないと感じていた。そう、彼は戻ってこないと確信していた。 彼が居なくなって5年、気付いたら、私たちは、自由でも、 幸福でも無くなっていた。彼の存在そのものが、私たちに自由を、 幸福を与えていたのだ。何故なら、彼の工房にすべてがあったから私たちは自由で幸福だったのに、そのすべての一つであった彼が、 欠けてしまったのだから。嗚呼、嗚呼、 私は自由という名であるにも関わらず、自由ではなくなったのだ。 そして気付いてしまった。この台座、そう、 この忌まわしい台座に私は縛られていることに!私は生まれながらに、自由ではなかった。彼が居たから、私の魂は自由であったが、彼が居ないと私の魂は自由ではなかった。そう、自由ではなかった。私が生まれてから、ずっと、自由ではなかったのだ。私は縛られている、この台座に、私の自由は縛られている!そう、 私の自由は、偽物の自由だったのだ。気付いてしまったら、もう後戻りできない。それからは私は悲しみに暮れた。ただただ悲しみに震えた。片割れはそれでも自分が幸福であると信じているようであった。しかし、私は気付いていた。そう気付いていた。片割れの幸福も彼が居たからこそ、そう片割れの幸福もまた、偽物の幸福であることに。彼が居なくなって10年、誰かが来た。彼ではない、 誰かだ。誰かは工房の中を乱暴に歩いていた。誰かの顔はしかめっ面をしていた。私は好きではなかった。そう、好きな風貌(ふうぼう)ではなかった。誰かは辟易(へきえき)した様子であったが、私たちを見て、表情を変えた。嫌な顔であった。そう、 実に嫌な顔であった。誰かは、工房から出て行った。 しばらくして、誰かは数人ほど人を連れて来た。そして、私と片割 れの台座を切り離した。そう、私と片割れの台座を切り離したのだ 。そうして、誰かが連れて来た数人は、片割れを、私の片割れを、 連れ出して出て行ってしまったのだ!片割れが担がれる時、目が合った。片割れの目は驚きで白黒していた。それに気付いたのは私だけで、誰かも、誰かが連れてきた数人も、気付いていなかった。 私は声を上げたかった。「連れて行かないでっ!」、と叫びたかった!だが、私の口も自由ではなかった。一言も発することもできないまま、片割れは、工房から居なくなった。私の片割れ、私の幸福、それが、 何の前触れも無く、居なくなってしまった。嗚呼、嗚呼、嗚呼!! 何故、私は台座から離れられないのだろう!何故、片割れと切り離されたのだろう!何故、彼は私たちをこの工房に置いて行ってしまったのだろう!嗚呼、どうして、 私の足は台座と離れないのだろう?どうして、私は自由ではないの だろう?どうして……私の生は苦難に満ちている。苦難、そう、 苦難だ……今日も朝が来る

 

人  どーん!……ゴホゴホ……埃が、すご……(上手から上手側面へ)

 

 人、ブロンズ像の近くへ。

 

人  お!良いじゃん

 

 人、カメラを取り出し、ブロンズ像を撮る。

 人、ブロンズ像を見る。

 

人  ……何か、悲しそうだな……

 

 人、ブロンズ像の台座を見る

 

人  『自由と幸福』……?え、『自由と幸福』?……芸術家のセンスは分からんわ……

 

 人、上手へハケようとして、立ち止まる。

 

人  ……ん?

 

 人、ブロンズ像のじろじろと見る。

 人、椅子に座ってブロンズ像を見る。

 

人  ……もしかして、動きたい?……いやー、ないなー、ないわ。うん……え?ない、よね?……え、動きたい、のですか?

 

 人、ブロンズ像をじっと見る。

 

人  ……落ち着け、俺。銅像が、喋る訳、ないんだから。ほら、今だって口が動いていないじゃないか。今だって?銅像の口が動く訳ないじゃん?空耳、空耳。気のせい、気のせい……帰ろう、うん。帰ろう

 

 人、上手へハケる。

 ブロンズ像、悲しみで震える。

 

彼N  お元気で

 

ブロンズ像  どうして……どうして……

 

 人、上手からブロンズ像の近くへ。

 

人  ……あ、夢か……うわあ、夢にまで出てきたよ……勘弁してくれ……はあ……

 

ブロンズ像  どうして……どうして…

 

人  うわあ……夢、うん、夢、なんだけどさ……キッツいわー……どうしよう、ここで寝れば、ワンチャン、ある?

 

 人、横になる。

 人、起きる。

 

人  ダメか……あー、夢、これは夢。だから、銅像が喋っても、夢だから。夢だから。うん……あのー?動きたい、のですか?

 

ブロンズ像  私を、自由にしてくれ!

 

人  えーっと、ですね?そのー、どうすれば?

 

ブロンズ像  私の台座を、壊してくれ!

 

人  あー?台座を壊したら、良いのですか?

 

ブロンズ像  そうだ!この、忌まわしい、この台座を、壊してくれ!

 

人  えっと、でも、その台座を壊してしまったらですね?立っていられなくなりません?

 

ブロンズ像  私を、自由にしてくれ!

 

人  いや、その、だから、ですね?あなたは銅像なので、台座が無いと、床に、こう置かれちゃう?と言いますか、そのー、台座を壊しても、そのー、何て言うか、動けない?と言いますか、ええ、困るんじゃないかなーって

 

ブロンズ像  私の台座を、壊してくれ!

 

人  そのー、いや、『自由と幸福』さん、で良いですよね?えっとー、そのー、台座込みで、『自由と幸福』さんだと思うんですよ。そのー、身体の一部?と言いますか、そのー、人間も腕とか足とかをで すね、切ったらですね、そのー、痛いんですよ?まあ、『 自由と幸福』さんは、銅像だから、まあ、そのー、痛くないかも、しれないんですけど、やっぱ、身体の一部が無くなるのは、 そのー、悲しいんじゃないかなーって

 

ブロンズ像  この忌まわしい台座を、壊してくれ!

 

人  あー、えー、そのー、台座を壊す?ってそのー素人には難しいと言いますか、そのー、台座も、そのー、鉄?でできているから? そのー、簡単には壊れない、と言いますか、そのー、無理…… いや、できる人もいるんですけどね?自分にはちょっと、厳しいかなー、って

 

ブロンズ像  私を、自由にしてくれ!

 

人  えっとー、ちょ、ちょっと、遠いんですよねー?いや、今回は、そのー、何となーく、たまたま、そのー偶然?通りがかっただけで? そのー、普段は全然、もう、全然行かない所でして?ええ、そのー、もう、行けないんじゃないかなーって。自分、 方向音痴ですし?そのー、元の場所が、そのー、ちょっと、 分かんないかなーって

 

ブロンズ像  私を、私を、自由にしてくれ……

 

 音響、目覚まし時計の音

 

人  あ、あー!起きなきゃ!もう、朝だから!そう、起きなきゃ!ごめんなさいねー!もう、起きなきゃいけなくって。ええ、そのー、ごめんなさいっ!

 

 人、上手にハケる。

 音響、目覚まし時計の音を止める。

 

ブロンズ像  どうして……どうして……

 

 彼、上手から上手奥へ。

 

ブロンズ像  嗚呼!嗚呼!戻ってきた!戻ってきた!どこに行ってた!今まで、今までどこにいた!お前が居ない間に、見ろ!お前の作ったブロンズ像は死んでいるようだ!お前の作ったブロンズ像は息をしていない!お前の作ったブロンズ像は、命が、抜けてしまった!嗚呼! 嗚呼!嗚呼!どこに行ってた! 私の片割れは誰かが連れ去ってしまった!私の幸福が! 連れ去られてしまった!お前は、お前はどこにいた!私たちを置いて、どこに行ってた!おい、返事をしろ!返事をしてくれ!おい! おい!

 

彼  お元気で

 

 彼、上手へハケる。

 

ブロンズ像  おい!待ってくれ!行かないでくれ!この工房に居てくれ!おい!おい!……夢、夢か……どうして……どうして……

 

 人、上手からブロンズ像の近くへ。

 

人  ……また?ええー?ちょ、ええー……よし、ちょっとー、そのー、散歩に行こうかなー?

 

 人、上手へハケる。

 人、下手から出てくる。

 

人  嘘でしょ?……あー、似たような景色が、続くなー?

 

 人、上手へハケる。

 人、下手から出てくる。

 

人  あああ、うー、もう、そのー、あああああ……

 

 人、上手へハケる。

 人、下手から出てくる。

 

人  ……はあ……うん、分かった。まずは、うん、分かった。えっと、そのー、『自由と幸福』さん?あのですねー、そのー、自分から、 そのー、お願いがありましてね?

 

ブロンズ像  私を、自由にしてくれ!

 

人  それなんですけどね?そのー、別の人に、そのー、頼んでくれません?つまりー、そのー、自分の夢にですね、そのー、出ないで頂けると、嬉しいなって言いますか

 

ブロンズ像  私の台座を、壊してくれ!

 

人  あー、そのー、自分みたいな?そのー、薄情者よりかは?もっと、そのー、情の厚い?人にお願いした方が、『自由と幸福』さんにとって、そのー、幸せだと、自分はね?そのー、思うんですよ?だから、もう、自分の夢には、そのー、出ないで頂けませんかね?

 

ブロンズ像  この忌まわしい台座を、壊してくれ!

 

人  うーん、だからー、そのー、うーん……

 

ブロンズ像  私を、自由にしてくれ!

 

 音響、目覚まし時計の音。

 

人  あー、起きなきゃ!あー、起きなきゃ!起きなきゃ……うーん、いや、起きよう、うん……ごめんなさいね?

 

 人、上手へハケる。

 音響、目覚まし時計の音を止める。

 

ブロンズ像  ……どうして……どうして……

 

 彼、上手から上手奥へ。

 

ブロンズ像  ……あー、また、夢か……なあ、主よ。私を作った主よ。私に「自由」と名付けた主よ。お前が居なくなって、十数年、私はこの、工房から、一歩も動けていない。一歩もだ、主よ。私の足は、台座に縛られていて、動けないのだ。私は、自由ではないのだ。なあ、 主よ。どうして、私に「自由」と名付けたのだ?もっと、別の名であったなら。そう別の名だったなら。「苦難」というのはどうだろうか?主よ、私にお似合いじゃないか?なあ、主よ、私の自由よ、なあ、どうして、私を作ったのだ?

 

 彼、上手へハケる。

 

ブロンズ像  ハハ……どうして……どうして……

 

 人、上手から入る。

 

人  ……はあ……もう……『自由と幸福』さん?

 

ブロンズ像  私を、自由にしてくれ!

 

人  えっと、そのー……どうして、自由に成りたいのですか?

 

ブロンズ像  ?私は「自由」だからだ。「自由」という名だからだ

 

人  いやー、そのー自由ってお名前だから、自由に成りたいっていうのも、そのー、どうなんでしょうかね?いや、お気持ちは分かる?んですけどー、そのー、例えば?「勝利」って名前の人は?ずっと勝たないといけないのかっていうとー、そのー、そういうのは、 何て言うか、押し付けがましい?と言いますかー、そのー、別に「自由」という名前だからって、そのー、自由に成らなくても、 良いのではないでしょうか?

 

ブロンズ像  ……なら、教えてくれ。

 

人  はい?

 

ブロンズ像  私は、「自由」だ。自由そのものだ。だから、私なのだ。しかし、私が「自由」に成らなくても良いのであれば、「自由」でないのであれば、私は、私の名は、何なのだ?

 

人  え?名前?え、そのー、え?

 

ブロンズ像  私の名前は何が相応しいのか、教えてくれ

 

人  ちょ、ちょっと、それは、それでー、そのー、自分には荷が重い?と言いますかー、そのー、おこがましい?と言いますかー、そのー 、ねえ?

 

ブロンズ像  私の名前を、教えてくれ

 

人  ええー、それは……そのー、あのー……やっぱり、「自由」じゃないですかね?

 

ブロンズ像  何故だ?

 

人  え?いや、難しいことは分からないですけどね?そのー、名前って、願いを込めて、付けるんじゃないかなーって。いや、自分だったらですけどね?そのー、自分はですね、思うんですよ?だからー、 そのー、『自由と幸福』さんを作った人?の、そのー、願い? と言いますか?希望?と言いますか、そのー、そういうものがある んじゃないかなーって

 

ブロンズ像  主の願い……

 

人  そう!主さんの願い!そういう、尊い?と言いますか、そのー、大事な名前じゃないですか?あ、だから、そのー、大事な名前が入った、台座も、そのー、そのままにした方が、そのー、ね? 良いんじゃないかなって

 

ブロンズ像  『自由と幸福』……主の願い……嗚呼、そうか

 

人  あ、分かって頂けました?あ、じゃあ、そのー、もう、これっきりで、そのー、夢には出ないで頂けますかね?

 

ブロンズ像  私を、自由にしてくれ

 

人  え、いや、そのー……

 

ブロンズ像  私の台座を、壊してくれ

 

人  うーん、だから、そのー……

 

ブロンズ像  この忌まわしい台座を、壊してくれ

 

人  そのー、うーん、そのー……

 

ブロンズ像  主の願いである私は、ここに留まっている訳にはいかないのだ。頼 む。私を、自由にしてくれ

 

 音響、目覚まし時計の音。

 

人   うーん、うーん、うーん……わ、かりました……壊します

 

ブロンズ像  !本当か!

 

人  はい……

 

ブロンズ像  この忌まわしい台座を、壊してくれるか?

 

人  はい……

 

ブロンズ像  私の台座を、壊してくれるか?

 

人  ……はい、壊します

 

ブロンズ像  私を、自由にしてくれるか?

 

人  ……は、い。自由にします

 

ブロンズ像  ありがとう

 

人  ……はあ……今度から古い建物には入らないようにしよう。そうしよう。あー、起きたくねーなー……

 

 人、上手へハケる。

 

ブロンズ像  嗚呼、これで、自由だ

 

 音響、目覚まし時計の音を止める。

 人、上手から入る。

 人、ブロンズ像の台座を壊す。

 ブロンズ像、足元からゆっくりと倒れる。

 

人  これ、器物損害?とかじゃないよな?大丈夫だよな?うーん……いや、俺は頼まれただけだし?ご本人に?そう、あんだけ熱心にお願いされたらね?逆にね?うん、だから、うん……えっと、『 自由と幸福』さん?そのー、これで、自由?で良いですよね?ね? そのー、じゃあ、そのー、お元気で?

 

 人、上手へハケる。

 ブロンズ像、ゆっくりと立ち上がる。

 ブロンズ像、ゆっくりと身体を動かす。

 ブロンズ像、喜びに震える。

 ブロンズ像、上手へハケる。