7番目。
7、再び、橋へと続く道。
トゲの叫びがウサギの耳まで届く。
ウサギはいつものことかと笑う。
ガサゴソと言う音と共にトゲとモクタンが戻って来る。
ウサギ、微笑みながら出迎える。
ウサギ お帰り。もう話は終わった?
トゲ ……おう、待たせて悪かった。行こう。
トゲ、独り残して行ったことや何を話したのかを聞かないでいてくれるウサギに申し訳なさと有り難さを感じながら、さっと前を歩き始める。
ウサギ、何も言わず、後に付いて行く。
モクタン、人形の自分たちが人間のあれこれに反応をするのは滑稽な気がしたため、まだ釈然としていなかったが、トゲの言い分も分からなくもなかったので渋々ウサギの後ろに付く。
風は先程よりも強くなりどこかから吹いて来た葉っぱが一行の前を横切って行く。
遠くではゴロゴロと地響きのような音がする。雷の音だ。
トゲ これは……橋に着く前に降りそうだな……
トゲ、後ろを振り返る。
トゲ ウサギ、俺の背中に乗れ。モクタン、ちーっと急ぎ足で行くぞ
ウサギ、一つ頷くとトゲの背中に乗る。
モクタン、鼻で笑う。
モクタン ほら見なさい。あの雨除けがあったらこんなことにはならなかったのに
トゲ まだ言うか、炭っカス。路上に張り付いたガムよか粘着質だな
モクタン ええ、言いますよ。ウサギが濡れたらどうするつもりですか?
トゲ だぁから、俺の背中に乗せて行くっつってんだろっ!
モクタン ワニっ子の背中に乗っていても、降ってくれば同じですよ
トゲ 降る前に橋まで行ければ問題ねーだろっ!四の五の言わずにとっとと行くぞっ!
モクタン Hey!ワニっ子!
トゲ ああ?まだなんか言う気か!
モクタン これなら、文句はありませんよね?
モクタン、手にさっき風で飛んできた葉っぱが一枚、大きさはさっきの雑誌より小さいけれど十分に雨除けになる。
トゲ ハッ、上等だ炭っカス。準備は良いか?
モクタン 勿の論です、ワニッ子。行きましょう!
トゲ、ウサギを乗せ、グッと動く。
モクタン、置いてかれないように手に葉っぱを持ったまま着いて行 く。
ウサギ、橋を見ていた。楽しいな、と思いながら。