何かしらの所感を所在不明に散らかして書く。
最近偶々、映画「ボヘミアン・ラプソディ」の感想の書き散らしを見付けた。
折角なので当ブログに残しておく。
其処此処で「感動した」、「素晴らしい」と絶賛するコメントを散見していた。
なので、映画のクオリティにある程度の期待はしていた。
同時に、あまり高揚した気分ではなかった。
ちょっと物見遊山のつもりで行った感じだろうか。
最初に断っておくが、私はクイーンは好きだ。
表題である「ボヘミアン・ラプソディ」の曲も好きだ。
遠出する時に、たまに掛ける程度には好きだ。
その上で、この映画を一言で言うならば。
淡々と進む授業のような映画だった。
先生が教科書を黒板に清書しては、読み上げて、淡々と授業が進んでいくような映画だ。
たまに教科書の補足や雑学などが付け加えられていきながら、淡々と進むような映画だ。
有り体に言えば、絶賛するほどでもない。
最後まで寝ずに済むくらいの面白さだ。
いや、私の性には合わない感じがある。
映画の冒頭、導入が好きではない。
映し出される映像と流れるクイーンの音楽が全然マッチしていない。
あの映像での導入なら、音楽を流さない方が良い。
曲を全面に出したかったら、もっと別の映像が良かったのではないのだろうか?
スッと映画の世界に入れない感じがした。
それからフレディの青年期からクイーン結成、アルバム作成、ツアーに曲作りとエピソードが流れる。
それはもう淡々と。
こういうことがありました、という事実を紹介されている気分になる。
曲を最初から最後まで流さないのがもやっとする。
クイーンの映画だから、クイーンの名曲を使うのは良いとして、クイーンの曲縛りで作った感がすごい。
曲ありきで作ったからか映画としては無理が出ている部分もあるように感じる。
導入はその一例だろう。
役者さんの役作りは素晴らしかった。
役への没入度が凄かった。
最初に青年期のフレディのロン毛であったので、私のイメージと合わなかったのだが、最後に本人の写真や映像が瓜二つで驚いた。
演者さんの畏敬の念は高まった。
恋愛描写は、ちょっとよく分からない。
2人きりになる→見つめ合う→ズキューーーン(キスをする)の流れが多用しているが、そんなもんなのか?
まあ、おっさんとおっさんのキスシーンが目白押しだから、それ目当てで行くのはありかもしれない。
中盤から終盤入口までの演出は良かった。
ようやく映画に私も没入できるかな? と感じた。
しかし、最後のチャリティーコンサートの音楽がまた強引だった。
実際の曲構成で演奏するのは良いのだが、「大勢の人が見ている」演出が嫌だ。
特にラジオで音が小さくなるのは、すごく嫌だ。
何故嫌かと言えば、主体して観ていたつもりでいたのに急に「これは映画だ」という現実に引き戻される気がするからだ。
没入させて欲しいのに、それをさせない、お陰で欠伸も出たし、ちょっと冷めた。
ここでも曲の使い方が下手に感じる。
クイーンの曲縛りでやるにしても、もっとアイディアが出なかったのか? と疑念する。
私の中で一番納得できないのが、表題作の「ボヘミアン・ラプソディ」の完全演奏が結句一度もなかったことだ。
6分間の最初から最後まで、ではなく、中途半端な切り方をした使い方をしていた。
できたはずだしそれが聞きたかったのに、残念に感じた。
取り敢えず役者さんの演技力はとても良かった。
良い役者さんを揃えたのだからもっと内面の葛藤を描いても良かった。
最初から最後まで淡々と過ぎた、そういう印象の映画だった。