詩を書きました。
こういうのは、短編っぽい気がして詩じゃない気もするけど…どうなんでしょう?
『片思いの傷口』
親指の付け根を切ってしまった
止め処なく血が溢れてくる
冷たい水で全てを洗い流そう
でも血は止まらない、止まらない
友達がいうには手当が必要だ
僕は素直に従って病院に行く
お医者さまがいうには手術が必要だ
横になり、目を閉じ、静かに待つ
50ccの麻酔の入った注射を傷口に注す
焼けるような痛みがひりつく
そして痛みが感じなくなった
頭の中で音楽が流れる
手術は終わった、あっけなく
看護師さんがいうには消毒が必要だ
明日も朝早く約束をした
薬剤師さんがいうには服薬が必要だ
痛み止めと化膿止めの薬を頂いた
200ccの炭酸の入った飲料を口元に注す
弾けるような刺激がぴりつく
そして痛みが戻って来た
それにしても皆不思議がる
「どうしてそんなところを切ってしまったの?」
説明しようがない事ってたくさんある
この傷も気が付いたらあったんだ
最初は痛みもなくて気にもしなかった
でもそれは僕が考えていた以上に深くって
3針も縫うことになるなんて
忘れよう忘れようとしているのに
親指を動かす度に痛みが走る
たかが3針、やっぱり大したことない
暫くしたら抜糸もするって言われたじゃないか?
だから頭の中で音楽を鳴らさないでくれ
まるで僕が女々しいみたいじゃないか
いや、解っている。本当は。
僕がちょっと気を付ければ良かっただけの話
急いで急いで急ぎ過ぎて
親指の付け根を切ってしまったんだ
失敗だったな、そうじゃないか?
終わったことだ、そうだろ僕?
血はもう流れないけど、痛みは連れて行くよ
そうすれば同じことを繰り返さなくても良い
明日は親指に軟こうを塗る
もう頭の中で音楽は聞こえない