雲の大群が山へ押し寄せている。
まるで都会の駅に雪崩れ込む人のようだ。
ただ、都会人よりずっとゆっくりと進んで急いではいない。
すっきりしないまま、歩く。
もっとゆっくり行きたいが、とろとろとも歩けない。
そんな急かさなくても良いのに、ゆっくり行きたいのに。
白黒のセキレイが2羽、ちょこちょこと歩いている。
私が近付けば、瞬く間に電線の向こう側へ飛び立っていく。
大きいモノはやはり怖いのだろうか、特に何もしてなくても。
アマカエルがぴょこぴょこと歩いている。
私の前を平然と通り過ぎる。
あまりに大きいモノは認識できないのだろうか、私の靴の横すれすれを行くカエルには。
あの雲は私が見えているだろうか?
あまりに小さいモノだから気にも止めないだろうか?
それとも、地面を踏むことは生涯ないから、地上のモノモノのことなど眼中にないのだろうか?
心配がないから、あんなにもゆっくり進んでいるのだろうか?
踏む心配があるから、私は急いてしまうのだろうか。
余計な心配ばかりするのは、急くことになる、のかもしれない。
私の感情は未だぐらぐらして定まらない。
ネジが馬鹿になった蝶番のように、ぐらぐらしている。
ネジ穴を埋めて、新しいネジで締め直した方がきっと早いくらいに、ぐらぐらしている。
それでも、セキレイやアマカエルや雲のように、歩く時くらいはゆっくりしたい。
そう考えるのは、鼻で嗤われるだろうか?
また、余計な心配をする。
杞憂な心配、無用な心配を成敗したいと念じつつ、投稿する。