もう少しだけ、あともう少しだけ。
目を覚ます度に時計を確認する。
あともう少しだけ、私は休みたい。
何時も間にかできていた右腕の引っ掻き傷を撫でる。
赤く赤く鋭く真っ直ぐに引っ掻き傷はある。
意識すればひりひりと痛みを感じて、尚これ程の赤い傷を何時できたのか、不思議さが募る。
何時もなら聞き逃す布のかすれる音が聞こえる。
自分の息を吐く音さえうるさく感じる程に、静かだ。
部屋の明かりを着けるのが躊躇われるのは、静けさへの敬意の現れか。
真っ暗な部屋の中で、真っ黒な私の内を覗く。
後頭部に熱を伴う痛みを感じながら、首の骨を鳴らす。
反逆するのは、骨の鳴る音、スマートフォンの人工な光、私が愛する怠惰への欲求だ。
もう少しだけ、あともう少しだけ。
私は休みたい。
あともう少しだけ、あともう少しだけ…