11月29日、上田市にある犀の角で「劇壇百羊箱」さんの演劇を観た。
「M夫人の回想」という演目で、2018年第64回全国高等学校演劇大会で優秀賞を受賞した作品とのことだ。
「劇壇百羊箱」さんの掲げたテーマが「大人の本気」とあり、どのように作り上げるのか楽しみであった。
一言で言って、ハイクオリティーは劇だった。
一般が2200円の料金だったが、通常一般のプロの演劇の料金(6000円程度)でもイケるのではなかろうか?
劇のクオリティーに対して、料金が格安に感じた。
まず、プロジェクターがバチバチに格好良かった。
出だし、舞台にあるキッチンやタオルに映像をピンポイントでビタっと嵌めてきてるのが、格好良い。
場面転換のスクリーンの文字も凝っていて良かった。
プロジェクターを使っているのが、現代的な劇だな、と感じた。
音響は最小限であったが、節目節目の不安にさせる効果音はマクベス夫人とシンクロしているようであった。
同様に照明の切り替わり、特に冒頭の語りでの切り替わりは明るい夫人と狂気の中に居る夫人の切り替えを見事に演出していた。
また、ダンカン王の寝室に入った後、役者さんの影のみを映し出す照明演出は緊張感に満ちていた。
終盤、舞台上のキッチンの棚がガシャン、と落ちる仕掛けがあった。
まんまと驚かされて、何か、悔しい。
また、舞台頭上の笠のある照明がくるくると回るのも良かった。
小道具の豊富さは、この劇の特徴のように感じた。
台詞に出てくる駄洒落に合わせて、小道具を次から次へと繰り出す様は見ていて面白かった。
また、一つの小道具でも、場面場面で見せ方を変えていたのが良かった。
横に寝かせる、上に乗るなど、椅子の使い方や見せ方の豊富さには脱帽した。
脚本、になるのだろうか。
「片付けられない」というワードの前半と後半の意味の違う。
前半は「家事が絶望的にできない」から「片付けられない」のだが、後半は「狂っていく中で部屋が荒れてしまった」ための「片付けられない」へと変わっている。
台詞の意味合いの変化は素晴らしい。
役者さん、1人劇なのだが、役の切り替わりが凄い。
別キャラクターを演じても、きちんと別のキャラだと分かるのも凄いし、幼少期から思春期、結婚生活、王妃、狂気の変化も凄い。
ジェットコースターのような変化、切り替わりをしているにも関わらず、繋がって見える、凄まじさを感じる。
特に、マクダフ夫人が去った後の、口から出てくる「マクベス!殺せ!」は耳にこびりつく迫力であった。
まとめて、兎に角、凄まじい。
大人の本気というか、情熱の高さがべらぼうに高かった。
この劇を観れて良かった。
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