何を書いたら良いのか閃かないので、「何を書いたら良いのか」を書く。
久方ぶりに「書くことがない」を書く。
書くことがないことを書くから書くことがある矛盾は一旦忘れる。
かくかくしかじか、書けない。
斯く欠いた解を書き、カクカクしていく形無しの文言を掻き出してみる。
しかし、すぐに空中分解、海辺に打上った貝殻の如く、形骸した何かだけが残るばかりだ。
「書くことがない」なら書かなければ良い。
無理して書いても、無理した言葉しか出てこない。
無理繰り引き延ばして、その言葉は誰の心に届くというのか?
もっと丁寧に考えれば、もしかしたら、何か順当な目的が浮かび上がるかもしれない。
知識を圧縮して脳に打ち込めば、もしかしたら、小惑星の衝突のような閃きが生まれるかもしれない。
小宇宙のような脳のシナプスの先に、私は未だ見ぬ言葉を探している。
書けない、書けない、年を経ることに増えていく。
書けない、書けない、時間を経ることに増えていく。
書けない、書けない、身体は劣化して脳の機能は衰退するばかりだ。
今後も「あー、今日は書くことがないなー」と考えるだろう。
1年先、2年先、10年先、どんどんそういう日が増えるだろう。
いつか私は本当に何も書けなくなるのかもしれない。
本当に書けない、となるまで後何年あるだろうか?
それとも、本当に書けない日は来ないのだろうか?
1ヶ月後、1週間後、1日後、1時間後、私は書けなくなるかもしれない。
それでも机にかじりつく、好き好んでかじつつく。
1文字を打つ、専心する、今この瞬間に焦れている。
書けない、書けない、と唱えながら、無駄に冗長な1文字を書く。
私の世界は私が考えるより狭く、ずっと狭く。
私の思考は私が感じるより浅く、きっと浅く。
私の言葉は私が書くより軽く、虚空に吸い込まれて見えなくなる。
書けない、それでも書く。
書くことがない、それでも書く。
例え1文字、例え綿毛のような言葉でも、私の手は喋りたがる。
無駄に冗長な1文字を積み上げて、どうにかここまで。
このブログが「詰まらないことを延々と書く」を掲げていて良かった。
そうでなければ、無駄も冗長も1文字さえ吐き出せなかった。
何を書いたら良いのか、詰まらないことを書けば良い。
最初から決まっている、骨の髄まで。
狭い世界で浅い思考を以て軽い言葉を今日も虚空へと投げ飛ばす。
ようよう、書けないことでここまで書いた。
斯く欠いた文言を書き、詰まらない、と笑って終わらす。