山がある、ビルがある違いは高い物体の遠近の差だ。
山は土が隆起しているからなだらかな曲線で、空の支え方が自然だ。
ビルは垂直方向にグンっと伸びていて、空の切り取り方が都会になる。
山やビルの存在によって空はその存在感を薄めている。
山やビルがないと、空の圧の強さに息苦しさを感じる。
覆い被さるように存在する空の下にいる私は如何に小さな存在であるか思い知る。
私の思考のベースに山がある。
私の存在を規定するのに山の存在は大きい。
どこで産まれ落ちて生きていたか、空の圧に私の存在が脅かされる。
身近で巨大な物は何処に居ても目に入る。
何処に居ても目に入る身近で巨大な物の存在は、その人の思考ベースになる。
目の端に必ずあるのだから、思考の拠り所になるのは当然の帰結だろう。
空しかない空間なら、空が身近で巨大な物になるだろう。
その人が、山多き場所やビル群に行けば、あまりの空の狭さに驚くかもしれない。
海の近くならば、身近にある巨大な物が2つになるから捉え方が変わるだろう。
私は山に生かされている。
空の圧に逃げ惑いながら世界を小さくしていく。