ネガティブ方向にポジティブ!

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1247(星に手が届くのか否か)

手を伸ばせば届きそうな星であった。

手を伸ばせば届く、と考えるのは浅はかだろうか。

手を伸ばしても届かない現実の前に息を大きく吸う。

 

手を伸ばさなくても届かないと現実を知った気になっている。

手を伸ばせば届くかもしれない、と上っ面だけの綺麗事が木霊する。

諦めるのだけ上手くなっただけなのかもしれない。

 

絶対に星が手に届くことはない。

実際には何万光年先にあって、有毒なガスや熱で近付くことさえできない。

星が手に届くのは、頭に描く星のみだ。

 

知れば知るほどに星は届かない。

手を伸ばせば届く星などありはしない。

利口になった口で馬鹿は空を見上げる。

 

ロマンチストなら、もっと良い言葉を言えただろうか?

無限に広がる宇宙を私はただ受け入れる。

あの星が私の手に届かないから、私の頭の中の星に触れる。

 

しかし、「手を伸ばせば星に届く」と言える人間もいるだろう、必ず。

虚言ではなく、その人間の実感として、現実に、あの星に手が届いた人間もいるだろう。

頭の中の星でもなく、空虚な精神論でもなく、ただ事実として手に届く人間もいる。

 

そういう人間に実際に会ったことはない。

しかし、そういう人間がいるだろう、と確信している。

世界は私の想像よりは狭く、しかし同時に広い。

 

幽霊がいない、と論じるのは、今までそういう現象に出くわしたことがないからだ。

自分が経験した事がないからないと否定するのは簡単だ。

しかし、経験したことがなくても、「幽霊はいない」と断じるのは私にはできない。

 

手を伸ばせば星に届く、そういう人間もいるだろう。

ふと、何となしに手を空に伸ばした。

冷たい空気が指先をチリチリとかすめていくばかりで、星には届かない。

 

私は経験できるだろうか、星に手を届く経験が。

確かな現実として、空虚な精神論ではなく、実感としてあの星に触れられるだろうか。

私は未だに利口の振りだけする馬鹿だ。

 

諦めて、尚、星は輝く。