ネガティブ方向にポジティブ!

このブログは詰まらないことを延々と書いているブログです。

iの12

右手50m先に街頭が二つある。

左手3mに緑色の看板がある。

寝ている踏切を自動車が通り過ぎる。

 

前方50m先の信号機が赤に変わる。

自動車が通り過ぎる。

前方3mの信号機が青に変わる。

 

自動車が2台通り過ぎる。

ひび割れた歩道を歩くのは私一人だ。

用水路の水の流れる高い音が静かに響く。

 

砂利を踏む音が殊更に鳴る。

砂利を踏むと殊更に鳴る。

指先は冷たいが、心臓は少し早まる。

 

斜めに道路を横切る。

自動販売機が立ち並ぶ。

少し立ち止まって、また歩き出す。

 

視力0.1で見る世界の輪郭はぼやける。

遠くの街頭の強い光が二重に見える。

暗闇は尚輪郭を隠し、真っ直ぐ歩けているのか分からない。

 

昔連れてってもらった市民プールは、平らに均されていた。

夜に見る空き地は巨大な虚のようだ。

木杭とロープの簡易な柵は容易に超えられるだろうが、その先に入り込むのは帰って来れない寂しさがあって、私を遠ざける。

 

道路の白線が頼りに歩く。

30cm横は1mの落差がある。

足を踏み外したら、怪我をする。

 

街頭の下、道路に「子供に注意」と大きく書かれている。

マンホール、簡易な横断歩道、赤いセメント。

朝に通る子供がきっといる。

 

いつの間にか白い息を吐きながら歩く。

古老な向日葵が頑固に立っている。

3m下を水が急いで流れ去る。

 

堰を通り過ぎる。

自動車は通らない。

すでに時刻は明日を今日にしている。

 

影は私を先導する。

幾通りの道を歩いていても、帰り着く道は同じになる。

ふと私の最後の道は何処にあるのか、影を追い越しながら考える。

 

もうすぐ私は帰り着く。

もうすぐ私は一所に帰り着く。

振り返れば、私一人しかいない。

 

とある4月の夜の散文。